人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「ワーク・ライフ・バランスをしっかり考えてくれる職場に勤めたい!」
「有給休暇を取るとき謝るのはおかしい!」
そんなこと思ったことはありますか?
わかります。
介護職は激務のイメージがありますものね。
「年間休日が充実している求人票」を見たことがありますか?
休日は働く者にとって、権利であると同時に、長期的な勤務において不可欠な要素です。
介護職の求人票を見る際、年間休日の数は見逃せないポイントの一つです。
そのなかでも、「年間休日120日」という数字は、仕事と家庭の両立を考える上で重要な指標となります。
でも、実際にそれは本当なのでしょうか?
デメリットはないのでしょうか?
良質な職場は、従業員のワーク・ライフ・バランスを尊重し、有給休暇を活用できる環境を提供します。
これにより、仕事におけるストレスを軽減し、生活全般にわたる充実感を得ることができます。
給与を最優先に考える求職者にとっては、「休日の数」は転職の条件としてそこまで重要ではないかもしれません。
しかしながら、将来的に働き続ける視点で考えると、休日休暇制度の充実には重要なメリットがあるのです。
休日休暇の制度が整った職場は、従業員同士の関係も良好です。
介護・福祉業界では、協力し合いながら働くことが求められています。
子育てをしながら働く方にとっては、特に休日の確保が重要です。
休息の時間を確保できることは、仕事と家庭を両立させる上で欠かせない要素です。
求人票において、特に「介護職」「有給休暇」「年間休日『120日』」に焦点を当ててみましょう。
これらは、特に若い世代や子育て世代の方々にとって特に魅力的な要素です。
仕事とプライベートの調和を図る手助けとなります。
新しいステージでの一歩を踏み出す際に、ワーク・ライフ・バランスを大切にできる職場を見つけましょう。
今回は「介護職の年間休日:求人票の見方と『120日』の真実」をテーマにお伝えしたいと思います。
・転職において休日日数を重要視している方へ
・「休めない」という介護・福祉業界の実態をお知りになりたい方へ
・転職をお考えの方へ
・年間休日『120日』の求人票が“全てウソ”ではありませんが、デメリットの方が強い可能性もあります。しかし、推測できます。
\ あなたにとって理想の職場/
介護職・福祉職における休日休暇の実態
実際の現場の職員にとって、休日休暇は「リフレッシュ」「家族との時間」「自分の体調を養う」など、仕事とは全く違う「生活」の時間としてあります。
ずっと働き続けることは、健康にもよくありません。
無理をすると健康被害も出てきますので、長時間労働をするより「適度に休みながら仕事」をするほうが、パフォーマンスは発揮されることが多いです。
そのため職場の多くは、働き方改革もあり、休日日数に関して改善傾向にはあるとは思います。
求人票に、休日休暇日数を多く記載している事業所も増えてきました。
しかしながら、介護・福祉業界の多くは人手不足の状態にあります。
「人手不足の状態がある」ということは、「現場運営」を考えると、人手不足を解消しない限り、職員が足りない状況で運営することになるのです。
「休日休暇」については、求職する多くの方が興味・関心がある点だと思いますが、求人票で見極めることは非常に難しいと思います。
「休日休暇」は、求人票では「休日日数」にあてはまります。
データからは、他の業界と比べてみても、差はそれほどないようです。
「休みにくい業界」との印象があるかもしれませんが、安心してください。こちらでは、「休める」という考え方が妥当です。
年間休日の日数には、原則として有給休暇は含まれていません。
有給休暇は、従業員が持つ権利の一環で、取得するための休暇です。また、休日は職場が規定したもので、年間休日は職場が定める休息の日です。
年間休日を取得するための最低限は法的には「105日」です。これは厳密に決まっているわけではありませんが、労働基準法により1日の労働時間が規定されています。
通常、1日8時間で週40時間が基準となり、週休2日を取得できると約105日が年間休日の最低ラインとなります。
通常の相場は「111. 5日」ですが、これよりも多い場合は注意が必要です。
介護職(福祉職)で年間休日が多いとの良い職場なのか?
週休2日の基本休日に加え、ゴールデンウィークや年末年始休暇などの主要な休みを考慮すると、年間休日が約120日程度が理想的なラインといえます。
私の印象では、厚生労働省の調査によれば、介護・福祉業界の平均年間休日は100日から120日の範囲が一般的です。
ただし、年間休日日数が多くても、それだけでは良い職場かどうかの判断が難しいことがあります。
実は、これには一筋縄ではいかない事情が絡んでいます。
人によっては、年間休日が多いことがデメリットになる場合もあります。
残念ながら、医療・福祉業界においては年間休日が120日となる場合、注意が必要なポイントがあります。
実際には、年間休日が120日と求人票に記載されている職場よりも、年間休日が105日程度の企業の方が仕事が楽と感じるケースが生まれることもあります。
そのからくりに注目してみましょう。
介護職の年間休日「120日」のウソ・本当
『年間休日の日数が嘘か本当か?』
そのような視点で考えると、ひとまず「本当」 ということでいいと思います 。
しかし、先ほど述べたように、それが果たしてワーク・ライフ・バランスになっているか?それは別の話です。
全体的に人手不足であるのに、職員が多く休む職場であった場合、介護・福祉の現場を運営することが非常に厳しくなります。
運営していくためには、「利用者の人数に対して、職員がどれぐらい必要か?」という明確な規定がありますので、それを守らなくてはいけません。
つまり、守っていない状態で事故等が起こった場合は、その事業所の責任問題が発生してしまいます。
そのため職員の休日日数を守るには、
- 徹底的な業務改善を行い業務効率を格段に上げるか?
- 職員の余剰を雇うべきか?
- 利用者の利用制限を行うか?
- 職員に長時間労働を強いるのか?
- 休めない雰囲気を作るか?
- その他
経営的にできることは、限られてきます。
そのため「何かを犠牲にする」ことが多くなります。
1.介護職の年間休日「120日」:残業に気をつける
労働基準法で週40時間働くと定められていますが、1日の就業時間が8時間だと考えると、それを超える部分が残業として発生します。
例えば、年間休日が120日の事業所でも、1日1時間の残業があれば、週で5時間分、結果的に実質100日以下の休日となります。
医療・福祉業界ではこれが一般的で、残業で年間休日を多く見せることがあります。
つまり、120日あると宣言されても、実際には残業が多い職場という可能性もあるわけです。
このような事態は、年間休日が120日あっても信頼できない場合があります。
ただし、これは残業手当が希望される方にとっては問題ではないでしょう。
しかし、サービス残業として処理されている場合、非常に過酷な労働環境となります。
要するに、年間休日の数だけでなく、残業時間にも注目することが大切です。
そうなると8時間労働で3日と6時間を追加で働いたことになりますので、結果それが、12ヶ月続いたら「年間で45日間追加でに働いた」ことになります。
つまり120日-45日=75日
年間休日は実質「75日」とも考えられることになります。
私は過去、月100時間は仕事していたため、年間休日ないんじゃないですかね?
超絶ブラックでしたから。
休日休暇どころか「有給休暇すら」取得しにくい状況もある
2019年より働き方改革によって有給休暇取得が義務化されました。
この有給休暇取得は、簡単に述べると「年10日以上の有給休暇が付与されている労働者に対して、有給休暇を年5日を消化しなさい」ということが、義務付けられています。
それに、違反した場合は「雇用側が三十万円以下の罰金を課せられる」状況になります。
そのため多くの職場で有給休暇取得が、とりやすくなった可能性はあります。
ただし、職場によっては「5日間消化すればいい」と考えるわけです。
つまり「もっと取得したい!」という有給休暇申請の権利行使を、嫌がる職場もあります。
有給休暇の取得については、労働者の権利になりますので、職場や上司がどれだけ嫌がっても「権利を行使する」ことを明言すれば、それを拒む権利は職場にはありません。
もしそれを拒んだ場合は、労働問題に発展します。
しかし、繁忙期においては、時季変更権が雇用側にはありますので、労働者に「お願いをする」ことができます。
ただし、雇用側が別日を提示する必要があります。
基本的には、労働者の有給取得の権利を雇用側は、邪魔することはできないと考えてよろしいかと思います。
しかしながら、職場での人間関係等を考えれば、有給取得に関して強気に出れないという職員もいます。
そのため労働改善を徹底的に行っている職場は、休日休暇や有給休暇取得に関して、「取得しやすい」ことを浸透させることを行っている職場もたくさんあります。
2.介護職の年間休日「120日」:職員人数に気をつける
求人票を見る際には、職員の人数にも注目してみましょう。
職員が100人以上なら、社会福祉法人であると大規模な部門に該当します。
社会福祉業界では、大規模な職場の方がシフトの調整がしやすく、年間休日が多い傾向があります。
つまり、年間休日が多いというのは、職員の人数が多い職場で達成しやすい可能性が高まります。
中小規模の法人なら就業時間に注目しましょう
求人票を見る際には、職員の人数にも注目してみましょう。
職員が100人以上なら、社会福祉法人であると大規模な部門に該当します。
社会福祉業界では、大規模な職場の方がシフトの調整がしやすく、年間休日が多い傾向があります。
つまり、年間休日が多いというのは、職員の人数が多い職場で達成しやすい可能性が高まります。
もちろん、中小法人の規模では達成できないのか?といわれるとそうではありません。
中小規模の法人で多い印象があるものが、例えば、1日の就労時間を短縮して年間休日を減らす手段です。
就労時間が短いため、比較的楽な状況と言えます。
したがって、年間休日が120日を条件にしたいのであれば、大規模な法人を選ぶのが得策です。
逆に、中小規模の法人を検討する場合は、就労時間に注目してみると良いでしょう。
これが、求人の裏側を見極める重要なポイントです。
3.介護職の年間休日「120日」:正社員人数に気をつける
求人票の見方として、正社員の数にも注目しましょう。
正社員が少ない場合、介護・福祉業界の多くは主にパート職員で構成されている可能性が高まります。
パート職員は様々な事情で働いていることがあります。
よって急に休んだり、退職したりすることがあります。
そのことが正社員には負担がかかる可能性があります。
可能であれば、正社員の比率が高い職場を選ぶことが望ましいでしょう。
ただし、これは経営状況にも関わる複雑な要素です。
正社員比率が高い場合、その職場は経営的にも安定している可能性があります。
この視点からも、正社員比率が高い職場はおすすめできます。
求人票の数字が示す真実を読み解くことで、年間休日が『120日』である場合でも安心感を得ることができます。
もちろん パート職員として、正社員比率が高いところに勤務するのもおすすめです。
求人票以外からも年間休日の真実を探ろう
年間休日日数や有給休暇について、実績を記入している職場に関しては信用できると思います。
良い職場に関しては、求人票に「実績を書いている」ところがあります。
例えば、
- 前年度に職員がどれぐらい年次休暇を消化したのか?
- 職員が年次休暇をどれぐらい消化するのを保証するか?
このように実績を書いてある職場はあります。
これは問題なく信用してよいかと思います。
もしその記載通りにならなかった場合は、その職場の「信用」に関わってきます。
実績を公表をしていることは、強いメッセージともいえます。
「転職活動を考え、良い職場を見つけよう!」とするのであれば、「根拠を持った年間休日日数なのか?」を気にしなければなりません。
求人票を確認した後、ホームページ等でその職場を調べることも有意義です。
転職先の候補を「調べる」行為が「見極める目を養う」ことになります。
まとめ:介護職の年間休日:求人票の3つの見方と『120日』の真実
求人票をもとに年間休日の実態を推測する上で重要なのは、「残業の実態、法人の規模、そして正社員の比率」に注目することです。
これらのポイントを注意深くチェックすることで、年間休日の実態がイメージできます。
転職候補を絞り込んだら、実際に職場を見学してみるのも良いでしょう。
しかし、理想の職場を見つけるのは容易ではありません。
そのため、転職サイトの活用など、情報を効率的に収集することがおすすめです。
求人票の数字がどれだけ休みやすさを反映しているかを見抜くことで、賢い転職が可能になります。
「年間休日を多く見せる」手法は、雇用側が求職者に良い印象を与えるための手段ですが、注意が必要です。
この数字は必ずしも実際の休みやすさを示しているわけではなく、労働環境を正確に理解することが肝要です。
慎重な検討を通じて、良い転職先を見つける手助けとなることでしょう。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。
求人票に「求職者の目にとまりやすい PR 項目」というのは、たくさんあります。
以下もご参考いただければと思います。