人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。現場も10年経験あります。(プロフィールはこちら>>)
「介護・福祉のお仕事って、サービス残業が多いって噂だけど…」
「介護福祉のお仕事、サービス残業って、本当に多いんでしょうか?」
そんな心配、よくわかります。
残念ながら本当です。
私は月平均100時間ぐらいは残業していた時期があります。
しかも 残業代はもらっていません
当時の上司たちは全てその事実を知っていましたが。
実は私の経験では10年ほど前はそんなことは当たり前でした。
もちろん 同業者の一部の人たちは 私の周りではほとんど同じ状況だと思います。
でも今では状況が変わりました。
毎年、 新車買えるくらいサービス残業したんじゃないですかね...
介護・福祉のお仕事って、給料が他の仕事に比べて低いと言われることがあります。
それでなおかつ、サービス残業を強いられることで、低賃金かつ長時間労働という厳しい状況に追い込まれることもあるんです。
これはなぜかと言うと、まず1つは介護・福祉の仕事は「対人サービス」の仕事。
社会的に困難な状況にある方々と向き合う仕事なので、予測不可能な事態が発生することもあります。
そうした不測の事態に対応するためには、時には残業が必要になるのです。
さらに2つ目は、支援や介護だけでなく、事務的な作業も多く発生します。
これによって、業務量が増え、結果として残業が発生することがあります。
しかし最も最悪なのは 3つ目です。
人が足らないから誰かの犠牲で成り立っていることです。
介護・福祉の業界でサービス残業が一部はびこっているのは、このケースが多いです。
一方で、福祉系の公務員であれば、残業をすれば残業代が発生することが期待できます。
しかし、民間の介護・福祉施設で働く場合、実際の残業の実態はどうなのでしょうか?
このような状況を考えると、介護職や福祉職を選ぶ上で、職場の選び方が非常に重要になります。
残業が当たり前ではなく、働きやすい環境を提供している職場を見つけることが、安心して転職する第一歩となるでしょう。
今回は「『残業』をキーワードとして、介護・福祉のサービス残業の実態」をテーマにお伝えします。
・サービス残業が多い職場を避けたい方へ
・介護・福祉業界への転職を考えている方へ
・現にサービス残業が多いと悩んでいる方へ
・そもそも「そういう職場に勤めない」ことです。ブラックで悪質であれば、労基に相談するしかありません。
\ あなたにとって理想の職場/
介護職のリアル:サービス残業が当たり前?:まえがき
「法的にはサービス残業は違法です。」
本来、サービス残業は許されるべきではありません。
しかし、実際のところ、介護・福祉業界だけでなく、他の業界でも「従業員の長時間労働」が現実として存在しているケースは少なくありません。
日本の労働文化では、「見返りを求める」よりも「会社への貢献が最優先」という価値観が重視されてきたと言えるでしょう。
残業を申請することが、「仕事ができない」と低評価されることもあります。
そのため、残業を避けて「評価される」を追求する考え方が通常の傾向となります。
しかしながら、仕事を処理しないと業務が滞り、負担が増えるのが実情です。
仕事を円滑に進めるためには、「暗黙の了解」として残業が行われ、その残業が「申請されない・させられない」という潜在的な事態が、サービス残業の一環となっている実態があります。
介護・福祉業界で「サービス残業の実態について調査をした資料」によると
上記の調査結果になっているようです。
この調査はあくまで、「施設介護士と居宅介護のヘルパー」を対象に行なったものなので、全体的に介護・福祉業界へ「サービス残業が蔓延しているのか?」というと話は違ってくると思いますが、残念ながら、このデータでは介護・福祉業界の中に「サービス残業の実態はある」と言えそうです。
残業代が支払えない理由としては、「自分から請求していない」という理由と「請求できる雰囲気にない」ということが上位に挙げられます。
「なぜこのようなことになるのか?」
経営の考え方として、利益主義的な考え方があるのではないかと考えられます。
介護・福祉業界の事業の中で、もっとも大きな支出は「人件費」になります。
おおよそ、その職場の総支出の60%〜80%は、「人件費である」と考えてよろしいかと思います。
その中から、事務経費や事業経費などの支出があるとさらに差額は少なくなります。
そのため「人件費を抑えたい!」ことが、経営的な手法として想像できます。
介護や福祉業務の性質上、対象者に対してのサービスが勤務時間定時で終わらないこともあります。
もちろん、各職場によって状況は異なりますので、転職先を検討する際には慎重に情報収集が必要です。
転職を検討する際には、経営方針や働く環境について十分な情報を収集し、安心して新しいステップを踏み出すことが大切です。
例えば
サービスの利用中に体調が急変して、病院へ付き添いをした。
診察を終了した時には、定時を過ぎていた。
こういった状況では、病院への付き添いが労働時間外となる場合、残業として申請すべきです。
「申請しない」選択は「サービス残業」に繋がりかねません。
「申請をさせる雰囲気がない」状態は「悪質な状況」と言えます。
なぜなら、「申請しないのは自分の責任」とされ、結果的に職場が責任を免れる可能性が生じるからです。
たとえタイムカードが導入されていても、タイムカードを押した後に残業すれば、「サービス残業」が生じる可能性があります。
ただし、「多くの介護・福祉業界で、『サービス残業』が職場の慣習として広まっているのか?」というと、そうではない傾向があります。
ですから、新しい職場を選ぶ際には、サービス残業がどれほど一般的かを確認し、自身が安心して働ける環境を見つけることが大切です。
介護職のリアル:サービス残業の経験
私の経験をお話しします。
私は当時、その職場ではICTスキルを持っており、パソコンを使って業務をスムーズに進めていました。
本来であれば、私自身は定時で帰ることができましたが、周りの職員は事務処理に追われているため、帰ることが難しい状況でした。
しかしながら、私が帰ろうとすると、「もう帰るの?」と嫌味めいた口調で言われることもありました。
定時で仕事を切り上げると、次の日には「あいつは仕事をしていない」との陰口が立てられることもありました。
この問題について上司に相談しましたが、対応してもらえないばかりか、逆に周りの職員からは、ますます事務処理が押し付けられる状態になりました。
当時、私が一番若かったこともあり、断ることが難しく、仕事がどんどん溜まり、過重労働になってしまった経験があります。
そして、残業申請しようとした際には、当時の上司は「そんな指示をしていない」と言い放ち黙殺されてしまいました。
全てサービス残業です。
これらの経験から、介護職や福祉職を選ぶ際には、働きやすい環境を見極めることが重要です。
上司のサポートや労働環境が整った職場でなければ、安心して仕事をすることが難しいかもしれません。
トラウマが・・・。今でも鮮明に思い出します。
介護職のリアル:サービス残業を「当たり前にしない職場」は増加傾向
昔の介護・福祉業界では、仕事に対する「奉仕精神」が強調され、「社会的弱者」としての利用者を「かわいそう」と思いやりのある態度で支えることが主流でした。
見返りを求めず、自己犠牲をして介護や支援を提供する姿勢が重んじられていました。
これは悪い考え方ではありませんし、福祉専門職としての倫理観を築く上で重要なものでした。
しかし、この考え方がサービス残業や長時間労働に繋がりやすかったのも事実です。
最近では、福祉的な視点を大切にしつつ、経営的な視点を持つ職場が増えています。
介護・福祉事業は需要が高くても、経営の課題や倒産の可能性もある現実を見据え、堅実な経営を心掛けることが重要です。
人手不足は事業の継続を脅かす要因でもあります。
したがって、現代の職場は積極的に職場改善に取り組み、業務効率の向上や残業を極力減らす取り組みを行っています。
サービス残業を避け、働きやすい環境を提供することで、介護職が安心して働ける場所が増えています。
これらのポイントを考慮しながら、自身に合った職場を選ぶことが転職成功の鍵となるでしょう。
古い体質が残っている職場では、サービス残業が当たり前のように行われている可能性はあります。
介護職のリアル:サービス残業が当たり前になる理由
先に述べた通り、介護・福祉業界では大きな財務支出が人件費にかかっています。
ただし、「残業を少数の職員が行った」としても、それだけでは人件費に大きな圧力をかけることはありません。
当然、多少の残業代は払えます。
実際のところ、サービス残業が横行している背景には、「多くの職員が残業をするような職場環境になっており、それが財務を圧迫するほどの『額』になっている」と考えられます。
つまり、簡単に言うと「ほとんどの職員が残業しているため 、一気に申請 残業申請されると高額な人件費の支出になる」ということです。
ですが、仕事をしてもらわなければなりませんので、サービス残業ということが 黙認されます。
残業が頻発している職場は、業務効率が十分でないだけでなく、人間関係も難しい傾向があります。
一部の人が残業代を申請しない理由として、「残業の申請が煩わしい」と感じることが挙げられます。
しかしこのような状況は、基本的には「残業の申請が煩わしい状態を作り出している職場に問題がある」ことを意味しています。
例えば、求人票には「残業少なめ」と記載されていても、実際の職場環境はわかりにくいことがあります。
そのため、実情を考慮して転職を考える際には、企業の実態や労働環境をよくリサーチすることが重要です。
介護職のリアル:サービス残業が「当たり前」は変えることが困難
一つの方法として、上司に対して「サービス残業はしない」と明言することが挙げられます。
この行動によって、少なからず効果が期待できるでしょう。
しかし、難しいです。
個人で変えられることではないです。
サービス残業が当たり前の職場での雰囲気を変えるためには、覚悟をもって職場と向き合うことが必要です。
一人で解決することは困難でしょう。
同様に悩んでいる人を募った方がいいです。
つまり、ストライキみたいな形になりますね
例えば、労働基準監督署に報告するなどの行動が、残業を減らす一環となる可能性があります。
ただし、これは他の人に迷惑がかかる可能性もあるため、慎重に考える必要があります。
つまり、解決策は根本的にはありません。
そういった職場を去るのが一番いいです。
退職した方が人生が変わるはずです。
もし、原因があって辞めにくいのであれば下記のような方法があります。
まとめ:残業代は?サービス残業当たり前?介護・福祉の仕事の実態
全労連介護労働実態調査報告書の調査では、4人に1人が、「サービス残業の実態がある」と示されています。
介護・福祉業界全体がサービス残業に陥っているわけではありませんが、一部のブラックな職場ではサービス残業が実際に発生しています。
「サービス残業が当たり前」とまでは言えませんが、転職を考える際には「サービス残業のない職場を見つけること」が非常に重要です。
求人票には「残業少なめ・残業なし」と書かれていても、それが事実であるかどうかは確認が必要です。求人票には事実が書かれている場合もありますが、職場の実態を知るためには職場見学が有益です。
理想的なサービス残業のない職場を見つけるのは難しいかもしれません。
しかし、転職を考えているエリアの介護・福祉の職場に関する情報を、効率的に得ることができたら、それほど心配することはありません。
安心して転職活動に取り組んでみてください。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。
下記の記事では、サービス残業の実態について具体的なものを記事にしています。