人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
介護の職場は「カスタマーハラスメントが多い」というイメージはありますか?
「利用者やその家族の理不尽な要求・クレーム」=「カスタマーハラスメント」
介護現場へのカスタマーハラスメントの調査を厚生労働省が行なっています。
「介護現場におけるハラスメントに関する調査」には、事業形態によって異なりますが、「最大で55.7%のカスタマーハラスメントの実態」があるという結果になっています。
カスタマーハラスメントが多いか少ないかは差し控えますが、個人的な意見としてはカスタマーハラスメントが多いかどうかよりも、「カスタマーハラスメントをどのように防ぐか?」を組織的に対策をしているかが重要です。
どんな仕事でも「クレーム」はつきものです。
「クレームは宝だ」と考えている方もおられるかもしれませんが、「ある一線を超えると法的な手段も必要」になります。
「職員が安全・安心に働く」ことも重要になります。
カスタマーハラスメントにより、介護職の方々が精神的なダメージを受け、退職に至るケースが個人的に何件も相談を受けてきました。
結論として、カスタマーハラスメントは存在しますが、それに対応する組織的な対策があるかどうかが、職員が安心して働ける職場に繋がっていきます。
今回は「介護施設のカスタマーハラスメント対策:理不尽な要求への心構え」をテーマにお伝えします。
・介護士としてカスタマーハラスメントに対しての不安がある方へ
・カスタマーハラスメントに対する組織的な対策を講じている「良い」職場であれば、安心して勤められます。心構えは「組織に任せる」ことです。
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介護施設のカスタマーハラスメント対策:まえがき
介護施設では、厚生労働省の調査によれば、約5割の施設がカスタマーハラスメントの経験があると考えられます。
実際によくあるカスタマーハラスメントの例として、家族からの過剰な要求が挙げられます。
たとえば、「怪我をさせるな」「担当者を変えろ」「契約にないこともしろ」「転ばせるな」「長生きさせろ」「お金を使うな」といった要求が経験的には多いように思います。
実際には、信頼関係を築くことで、家族のカスタマーハラスメントが少しは収まるケースもありますが、ほとんどの場合、カスタマーハラスメント的な癖のある家族は、慎重に対処しないと法的手段に発展する可能性もあります。
カスタマーハラスメントに対する対策は、組織全体で行わないとかなり難しいと言えます。
ただし、組織的に対応できれば、職員は安心して働けるでしょう。
例えば、一般的には、カスタマーハラスメントの対策をしていない職場では、クレームが発生した場合、管理者や苦情受付担当者などの職員が対応することが一般的です。
これは基本的に、対策としては不十分です。
管理者や苦情受付担当者などの職員が対応するということは、その職員に負担がかかってくるわけです。
例えば、そのような対策で十分と考えている介護施設であれば、管理者自身がストレスを抱えている可能性があります。
管理者自身も、ストレスを抱えて働いていくと、そのストレスが職員に影響を与えてしまいます。
職員に影響を与えることによって、職場の雰囲気が悪い方向になる可能性があります。
介護施設のカスタマーハラスメント対策
実際には、カスタマーハラスメントは存在します。
「利用者からのカスタマーハラスメント」や「ご家族からのカスタマーハラスメント」もあります。
高齢者福祉の仕事をしていくと、厚生労働省の報告書通り、経験的にもカスタマーハラスメントに遭遇することは多いように思います。
ただし、カスタマーハラスメントに対して手厚いサポートをしてくれる職場もたくさん存在します。
『カスタマーハラスメントやクレームが怖い』からといって、仕事が安心してできない状況になると、人材不足が進み、事業運営に深刻なダメージが出ることも理解されています。
そのため、カスタマーハラスメントを経験することが多いからといって、気にする必要はありません。
しっかりとサポートしてくれる職場で働けば、安心して仕事をすることができます。
ですので、対策が整っている職場であれば、個人の責任ではなく、カスタマーハラスメント問題においても組織内のいろんな人と共有しながら対応していきます。
カスタマーハラスメントがあると個人的にはストレスがかかるかもしれませんが、組織としての対応力・団結力が上がるいう職場もあります。
1.介護施設のカスタマーハラスメント対策:施設損害保険への加入
施設損害保険への加入は、ほとんどの介護福祉施設が行っていると考えられます。
そのため、カスタマーハラスメントがあったからと言って、基本的に金銭的な心配はほとんどいりません。
(加入しているかの確認はしたほうがいいですよ)
事故やクレームがあっても、その損害は保険会社が金銭的な負担をしてくれます。
ただし、施設損害保険の加入だけで「カスタマーハラスメント対策ができている」と考えている職場であれば、介護士職員はかなり苦労すると思います。
保険会社が提示する損害賠償金と折り合いがつかなければ、交渉するのは保険会社ではなく介護施設側が多いです。
そのため、介護施設側が謝罪や説明、または示談交渉をする必要が出てきますので、体力的にも精神的にも大きなダメージを受けることがあります。
ほとんどの施設が施設損害保険に加入している一方で、それだけではカスタマーハラスメントへの対策としてはかなり不十分です。
2.介護施設のカスタマーハラスメント対策:利用時の念入りなアセスメント
特にカスタマーハラスメントに対する自主的な対策として、アセスメントを丁寧に行い、適切に利用者を判断します。
場合によっては、契約時に綿密に取り決めたりもします。
また、組織的な自主的な対策として、単一の施設ではなくネットワークを構築して対応してくるところもあります。
これにより、事前に情報を把握することが可能ですし、カスタマーハラスメントが発生しないように事前に対策を講じることもできます。
ただし、利益優先型の方針の場合は、カスタマーハラスメント対策が難しいことがあります。
情報が不十分なまま、とにかく定員を埋めるために利用を開始してしまう可能性もあります。
特に高齢者福祉施設では、ケアマネージャーが激務で、丁寧なアセスメントが難しいこともあり、情報が不十分なまま行き先を決定することもあります。
職場の方針によっては、カスタマーハラスメントを誘発してしまう「恐ろしい介護施設」もあります。
3.介護施設のカスタマーハラスメント対策:顧問弁護士で対策する
カスタマーハラスメントへの対策として、顧問弁護士を活用している介護施設もあります。
顧問弁護士を活用するメリットは多く、法的な対応策として介護施設やそこで働く介護職員の安心が守られます。
一方で、裁判になった時だけ知り合いの弁護士などに頼む介護施設も存在しますが、裁判になる前の対応を考えると、顧問弁護士の効果は高いものです。
顧問弁護士がついていると、抑止力的な効果も期待でき、無理な要求があまりできなくなります。
トラブルが生じた場合はその事情を説明する必要がありますが、顧問弁護士に任せておくという状況も考えられます。
これにより、カスタマーハラスメントへの対応がかなり楽になるでしょう。
ただし、顧問弁護士を活用するにしても、費用の問題がありますので、その点も確認が必要です。
理不尽な要求への心構え
カスタマーハラスメントに対する心構えは、自分一人で対応しないことです。
時折、自分が失敗したからといって、一人で責任を取らなければならないと考える人がいますが、それは誤りです。
もしも、一人に責任を取らせるような職場であれば、チームワークという基本原則から外れた職場です。
介護や福祉の職場は基本的にチームワークで乗り越えていくものです。
そのため、たとえ自分が失敗してカスタマーハラスメントに見舞われたとしても、組織で協力して対抗していくことが求められます。
ですので、一人で抱え込まずに、組織として対処していくことが重要です。
まとめ:介護施設のカスタマーハラスメント対策:理不尽な要求への心構え
今回、高齢者福祉における「カスタマーハラスメント」に焦点をあて、お伝えしましたが、障がい福祉・児童福祉など社会福祉サービスを行う職場は、カスタマーハラスメントはあるものと理解しておいたほうが良いです。
しかし、サポートをしっかりしてくれる職場は、職員が安心して働いています。
職場に安心がある方「笑顔」があります。
そのため「職員満足度も高い」のです。
もし少しでも懸念点があるのであれば、転職活動で全てが変わります。
職場を変えた方が苦しみは一気に解決することが多いと思います。
安心・安全で働ける職場を見つけるた方が近道ですよ。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。