人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「人間関係の良い職場で勤めたい」
「人間関係の煩わしさから解放された」
介護職福祉職の退職要因としては人間関係が常に上位にあります。
介護・福祉職の退職理由
1位:職場の人間関係に問題があった
2位:結婚や妊娠、出産などライフイベントの為
3位:事業所への不満
4位:将来のキャリアが不安
5位:他に良い職場があった
参考:厚生労働省|介護労働の現状と介護雇用管理改善等計画について
介護・福祉の仕事は、利用者のコミュニケーションだけではなく、職員同士ともコミュニケーションをしっかり取って行かないとままならない職業です。
そのため「コミュニケーション力が高い」ことは、仕事をしていく上で有利に働くと思います。
ただし、人間関係が全ての職場で悪いことはありません。
人間関係が乱れる理由は様々ですが、業務に支障がでないようにコントロールできている職場もあります。
事業所の多くは、職員の年齢層も幅広く学歴や職歴も様々です。
そのため価値観や世代的な考え方も様々で、同じ職場内でも全く意見が違うこともあります。
介護・福祉業界は「人間関係があまり良くない」イメージもありますが、経験的にポイントがいくつかあります。
今回は「介護職の人間関係」についてお伝えします。
・介護職(福祉職)で人間関係にお悩みの方へ
・個人でできることは「記録」「共感姿勢」「スルー」です。
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介護職の人間関係:面倒くさい?つらいを改善する「前提」
介護職や福祉職をしていく中で人間関係に悩むことはよくありますが、個人の問題と職場の問題を切り離して考える必要があります。
人間関係においては好き嫌いがあるのは当然で、社会人として、また福祉に携わる者として協力していくことが求められます。
しかし、感情的になり仕事をコントロールできない人もいるかもしれません。
感情的に仕事をすることが原因で人間関係に支障がでる場合もあります。
そのため、人間関係に悩む前に、それが個人の問題なのか、職場の問題なのかを考えることが必要です。
みんなが仲良くというのは難しい問題ですが、実現不可能ではありません。
職員全員が仲良く人間関係を持つには、しっかりとしたマネジメントが必要です。
コミュニケーションをとり、組織全体で健全な雰囲気を築くことが重要です。
逆に、マネジメントができていない状態では、個々の価値観や個性が強調され、共通する価値観が失われていきます。
経験的に言えば、介護や福祉の人間関係が悪いというイメージは、基本的には職場のマネジメントが原因と考えられます。
介護や福祉の仕事に従事する人々は、基本的に人間関係ができて優しく、善良な方が多いです。
例え問題のある職員を排除したり人事異動を行っても、問題が繰り返されることがあります。
原因が職場にある場合、個人では解決が難しいと考えるべきです。
ただし、自分自身が問題である場合、人間関係の辛さを改善するためには3つのポイントがあります。
つらい人間関係を改善する3つのポイント:共感姿勢を示す
介護や支援において、職員同士のコミュニケーションでも相手を否定せず、「共感をする」「共感を示す」ことが非常に重要です。
人は価値観や考え方が異なりますが、コミュニケーションにおいては共感の姿勢が欠かせません。
業務が忙しくストレスを感じている職員もいるでしょう。
そうした状況では否定されることが攻撃的な反応を引き起こすことがあります。
このとき、「言い方が悪い」といった議論がすれ違うこともあります。
信頼関係が築かれている相手であれば、意見を受け入れやすいでしょう。
信頼関係は利用者との関係だけでなく、職員同士との関係にも不可欠です。
共感する姿勢を示し、意思疎通を図ることが大切です。
相手の立場になって考えることは福祉の基本ですが、職員同士では難しいことがあります。
しかし、「価値観が違う」「違う考え方がある」ことを受け入れ、共感の姿勢を示すことで円滑なコミュニケーションが築かれます。
相手に理解されていると感じれば、職員同士でも円滑なコミュニケーションが可能となります。
共感を示すことは、価値観を共有することを指します。
相手の価値観を態度で示すことで、人間関係が改善されます。
アイデアに対して否定的な意見を先に考えてしまう人は、人間関係を円滑にするコミュニケーションが難しいかもしれません。
コミュニケーションの際には、まず相手に共感の姿勢を見せることで人間関係が円滑に進むことがあります。
ただし、この共感の姿勢は演技で十分です。
本当に共感する必要はありません。
理解できないことがあっても良いです。
しかし、人間関係を円滑にする目的があるならば、共感の姿勢を見せることは重要です。
共感姿勢を見せるのは演技で十分です。
共感姿勢を示す:非言語のコミュニケーション
「非言語のコミュニケーションを取り入れよう」と、利用者に対して、表情豊かに非言語を通して伝えようとされる方は多いのですが、職員同士のコミュニケーションでは、急に無表情になったり動作が少なくなることがあります。
これは「使い分け」ができているのだろうと思われますが、利用者に話す時には相当なエネルギーを使っていることが伺えます。
職員とのコミュニケーションではエネルギーを使いたくないという思いがあるかもしれませんが、これは「伝わる」という観点で見ればナンセンスです。
利用者には愛想よくコミュニケーションができても、職員に対してそれができないと組織のチームワークが損なわれる可能性があります。
利用者との信頼関係を築く方法は、職員同士での信頼関係も築くことに役立ちます。
無駄なエネルギーを使わないことも大切ですが、職員同士のコミュニケーションも仕事の一環です。
利用者に対して情報を伝える際には、職員同士も理解し合い、伝え合う非言語のコミュニケーションが重要です。
つまり、「使い分け」ができていることだけでなく、使い分けをしなくてもいいような「コミュニケーションにおける体力」を養うことが必要です。
つらい人間関係を改善する3つのポイント:記憶より記録
人間関係ですれ違いが起こることは認識の違いがよくあります。
例えば
B職員は、歯磨きを誘導することは覚えていましたが、食事後すぐにではなく「寝る前」に磨くことにしました。
その様子を見たA職員は「普通は食後なのに、なぜ歯磨きをしていないのか」と B職員の責任を追及しました。
人の記憶というのは、話し合ったとしても、あやふやで認識に違いがあるのです。
この例には、「いつ」という指示も出ていませんし、聞いてもいません。
記憶だけに頼っています。
ですので、記憶ではなくて記録を優先するべきなのです。
人間関係を円滑にしようとするのであれば、このようなすれ違いをなるべく少なくするべきです。
職場全体がそういった取り組みをされているのであればいいのですが、なかなかそこまで進んでいないのであれば自分で予防していくしかありません。
つらい人間関係を改善する3つのポイント:スルーをする
人間関係において、あえてその人を相手にしないことは時に必要です。
特に相手が問題を抱えた人材であれば、このアプローチが有効です。
たとえば、相手に威圧的になりたくないというプライドから、相手を避ける傾向がある人もいます。
こうした人たちと関わると、ますます難しい状況に陥ることがあります。
したがって、相手を無視することが、関わることによって得られるものを期待しない選択となります。
もし関わらざるを得ない状況であれば、最低限のことだけに焦点を当てるのが良いでしょう。
雑談など、余計なことはスルーする空気感を保つことが重要です。
コミュニケーションを通じて仲良くなれる可能性を期待することは避け、人間関係では仕事以外のことをスルーする必要があることを理解すると、より円滑で「嫌な思いをしない」人間関係を築くことができます。
介護職の人間関係:結局は職場のマネジメント
簡潔に言えば、人間関係は主に職場のマネジメントの問題であり、特に介護や福祉の業界ではその影響が強く現れます。
人材不足の中で、職場は能力さえあれば些細な問題を目をつぶることがあり、採用試験が設けられないこともあります。
そのため、問題のある職員が入社しやすくなり、これが人間関係の悪化につながります。
問題のある職員が一度採用されてしまうと、その職員を解雇することが難しくなり、結果として人間関係が崩れることがよくあります。
そのため、働きやすい職場では採用プロセスが厳格になっており、健全な人間関係が維持されやすい状況です。
退職して、人間関係が健康的な職場に転職することが、最善で近道です。
人間関係が転職理由の主因となることもありますが、辛抱する必要はなく、適切な職場を見つけることが大切です。
まとめ:介護職の人間関係:面倒くさい?つらいを改善する3つのポイント
「人間関係が悪い」という印象が介護・福祉について広まっていますが、必ずしも全ての職場がそうとは言えません。
たとえ人間関係が悪い職場でも、必ずしも自分が巻き込まれるわけではありません。
人間関係においては、どれだけ取り組んでも「個人的な好み」が存在します。
「人間関係が素晴らしい」とされる職場は、基本的には仕事以外でも何らかの関係がある人たちが揃っている場所でしょう。
通常の職場では、多様な価値観を持つ人々が働いており、仕事以外での深い関係はそれほど多くないのが一般的です。
そのような状態で「とても良い・家族みたいだ」と感じることはあまりありませんが、業務に支障がなく、気兼ねなく相談できるような先輩や上司が多く、働きやすくやりがいを感じる職場も存在します。
人間関係は、個人的な要因としては「自分が合うかどうか」が大きな影響を与えます。
価値観の違いにより感じ方は異なりますが、それが仕事に悪影響を与える場合、組織全体にとっても問題となります。
例えば、認知症や知的なハンディがある方でも、相手(職員)の雰囲気を感じることができます。
そのため職場の人間関係が悪いと利用者の状態にも悪影響を与えることがあります。
良好な人間関係は、働く上での不可欠な条件です。多くの人が心地よい人間関係が築かれた職場で働きたいと願っているでしょう。
ただし、理想の人間関係が整った職場を見つけることは容易ではなく、既存の職場で人間関係を改善することも難しいかもしれません。
そのため、転職の機会を早めに検討することが賢明です。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。