人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「前職では10年働いても給与が上がらなかった」
「前の仕事を辞めた理由は、給与が不満だったからでした。」
「新しい仕事に転職して、収入を向上させたいと考えています!」
このような気持ちから、退職に至ることはよくあります。
特に介護・福祉職では、退職理由の上位には給与関係が頻繁にランクインしています。
2020年の調査では、「収入が低い」が6位の退職理由になっています。
仕事には見返りがあるべきであり、収入が低いことは十分な転職理由です。
しかし、採用面接で退職理由を尋ねられると、答えにくい状況になることもあるでしょう。
転職の理由として「給与不満」が重要な要素であることは理解されていますが、採用面接ではうまく伝える必要があります。
そこで、履歴書に書かれている「一身上の都合」は便利な表現ですが、これだけでは採用担当者には曖昧で不透明に映るかもしれません。
できれば、「一身上の都合」という簡潔な表現にとどまらず、口頭で丁寧に説明することがベストです。新しい仕事を求める上での期待や希望、自身の成長なども交えながら、給与面での不満を理解してもらえるように努めましょう。
給与を交渉するということは全然悪いことではありませんよ。
特に「給与が上がらない」ことはキャリアを評価されていなかったとも言えます。
伝え方を考えればいいわけです。
今回は「転職理由が「給与が上がらない」でも給与を面接で交渉していい理由」についてお伝えします。
・給与が上がらないことで退職を考えている方へ
・転職活動の面接で給与交渉をしたいと考えている方へ
\ あなたにとって理想の職場/
転職理由は「給与が上がらない」:採用面接で交渉して良い理由
介護や福祉の職場では給与が低いと言われることがよくあります。
給与が上がりにくいともよく聞きます。
しかし、実際には給与が低いかどうかは一概には言えません。
例えば、休みやすい環境や働きやすい職場で、かつ給与が相場よりも高い事業も存在します。
逆に、ブラックの職場では働きにくく、休みも取りにくい上にサービス残業が多く、給与も低いといった職場もあります。
差が少しずつ広がってきているような印象をもっています。
給与水準が高くない場合、求職者が集まりにくいという現象は、介護や福祉の職場でも理解されつつあります。
そのため、職場では人件費のあり方を真剣に考え、どのように職員に還元できるかを模索しているところが増えています。
政策的にも、介護職等の給与向上が進んでいます。
給与交渉が一般的になりつつあるため、給与に不満がある方が転職先での給与交渉を検討することは十分に人事担当者も理解できると思います。
良い人材を獲得したいと考える職場では、相場よりも高い給与を提示することもあります。
「給与が相場より高い」からといって必ずしも悪い職場とは限りません。
その職場が高い給与を提示する理由もあるからです。または、比較的ハイペースで給与を上げる理由もあります。
ですから、自分の実力やキャリアに自信があり、求められている人材であると認識できれば、転職先との給与交渉は全く問題ありません。
むしろ、そうした交渉を通じて、職場自体が雇用主と従業員との関係を構築しやすくなるでしょう。
求人票はあくまでも目安であり、どのような実力を評価し、給与フレームに当てはめるかは雇用側との話し合いが必要です。
給与交渉は「ある程度働き方に慣れ、雇用側との信頼関係が築かれてからが良い」というアドバイスもあります。
ただし、私はそれには少し懐疑的です。
給与交渉で否定するための考える余地を与えすぎることにもなりかねません。
よって、採用面接の際に交渉することもおすすめです。
その方が「採用する側も判断しやすい」ことだってあります。
ただし、交渉の際はストレートに物を言うスタイルよりも、遠回しに交渉する方が、採用時の全体像をつかみやすく、逆に内定につながりやすいように思います。
なるべく遠回しに言ったほうが、人事担当者への心象が良いと思います。
採用面接で交渉するための方法論:「給与が上がらない」転職理由の伝え方の具体例
ストレートに伝えるのではなく、「言い回し」「言い方に気をつける」とよいです。
悪い例
採用面接官
「退職に至ったとか教えていただけますか?」
求職者
「給与が低く、給与が上がらない状況で評価されなかったからです」
これはNGです。
上記のように答えてしまうと、
「自分の仕事云々より、収入の面で判断する人材である」
「給与が高くないと仕事内容に興味が出ない人材である」
「早期退職してしまいそうな人材である」
上記のように判断をされてしまうことになります。
例えば、
採用面接官
「退職に至った理由を教えていただけますか?」
求職者
「前職では周囲からの期待は受けていたと自覚しており、その期待に応えようと自分なりに勉強はしてきました
「これに対して、組織の業務効率などの実績はできたと思います」
「しかし、それが成果に通してあまり評価されていなかったように思います」
「御施設では、様々な業務効率に挑戦され、積極的に職場環境の改善に挑戦されています」
「そういった中で、自分がどれくらい実力を発揮できるか?一緒に挑戦したいと思いました」
上記のように述べられると、「正当な評価をする状況が、この人材のポテンシャルを発揮できる要素である」と採用面接官・人事担当者に心証を抱かせることができます。
なおかつ、自然な形で志望動機も入っています。
収入をメインでなく、あくまで「組織に貢献」を価値観として伝えることがポイントです。
志望動機まで自然に入っているように伝えられると、求職者の発言に対する信憑性まで良くなるので、好印象を抱くように仕掛けることも可能になってきます。
「給料に不満があった」退職理由と、「成果を出したら評価し給与を上げてほしい」転職条件は伝え方次第でトラブルや嫌な印象は緩和できます。
全く別の印象を与えることが可能です。
介護や福祉の仕事は「給与が低い」と言われますが、それは「質の高い人材に、給料を払えない」わけではなく、「組織にしっかりと貢献してくれる職員を評価したい」と言う思惑があります。
それが今まで不透明な職場は多かったのですが、キャリアパス制度を導入することにより明確な評価をする職場は広まってきています。
つまり、「給与があがらない」状況を変えようってことです。
採用面接で交渉するための方法論:より有利にする行動
給与交渉を行うには、その転職先の職場情報をしっかり仕入れることが大切です。
そこで、自分にできることや強みを見つけ出すことが可能になります。
例えば、介護職であれば、当然のこととして介護職としての貢献が求められます。
ですので、介護スキルでの貢献は一般的な要素です。
その中で、給与交渉は難しいと思います。
他にも「子どもがいるから、もうちょっと給料上げて欲しい」「生活が苦しいから・・・」といった理由も難しいと思います。
そのような理由で給与を上げていたら組織が成り立ちません。
企業が従業員に対して給料を払うのは、企業に対して貢献をするからです。
その見返りとして報酬を支払うわけです。
それが給与と呼ばれるものです。
ですので、その職場に対しての貢献度が高くないといけません。
もし、介護職としての貢献をするのであれば、介護職として「どのようなリーダーシップや組織的な影響を与えられるか」「どのような質の向上を行い、その職場が持つ課題を克服できるか」という視点が大事です。
ですので、転職先が持つ悩みや弱みが分かれば、それが自分に克服できるようなスキルがあれば、給与交渉は格段に有利になります。
そういった情報は自分の努力で獲得するか、転職サイトのエージェントなどで無料登録し情報をもらうしかありません。
しかし、給与交渉したい、もしくは給与が高いところで自分の力を発揮したいという気持ちがあるのであれば、そういった行動をした方が良いです。
まとめ:【例あり】転職理由は給与が上がらない:採用面接で交渉していい理由
前職の「給与が上がらないこと」に不満を感じ、転職を検討している方が、次の転職先で給与に関する交渉に悩むことがあります。
具体的な金額を提示することもあるでしょうが、それを一切明示しなくても「給与交渉」を伝えることは可能です。
実績を強調しても、その実績が応募先の職場で通用するかは保証されません。
ですので、さりげなく遠回しにアピールすることが重要です。
重要なのは、「この人材にはたとえ3倍の給与を払ったとしても安いかもしれない。だからある程度、待遇を保証しないと別の職場を考えてしまう」もしくは「適切に評価をしていかないと、退職が早い」という危機感を人事担当者に与えることができれば、給与交渉を有利に進めることができます。
もし「向こうから具体的にどれぐらいの待遇を用意すればいいのか?」と聞かれた時には、自身が考える基準を述べることが重要です。
ただし、それには交渉の余地があることを匂わせておいた方が良いです。
そうしないと、雇用側は「YES」か「NO」かでの判断しかできなくなり、多くの場合はリスクをおそれ「NO」を選択しがちになります。
相場より高い給与を出す介護・福祉の職場も増えてきました。
そして、キャリアパスを準備し「給与が上がらない」ことの是正を進めてきた職場も増えてきています。
給与に対しては気をつけなければいけない部分もありますが、それだけで給与が高い職場は怪しい職場だと決めつけるのはチャンスを棒に振っている可能性もあります。
しっかりと職場の情報を仕入れ、自分が満足する職場を見つけましょうね。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考になれば幸いです。