ハローワーク等で介護や福祉事業所の求人票を見ると、「離職率」を計算して公表している事業所があります。
この数値が低いと「離職が少ない=職員にとって働きやすい職場である」と認識できそうですが、本当にそうでしょうか?
今回は「離職率が低い職場は良い職場か?」をテーマにお伝えします。
・求人票の離職率を参考にしておられる方へ!
・転職のノウハウをお求めの方へ!
- 介護・福祉業界の離職率が低い職場の実態
- 介護・福祉の職場が求人票で離職率を公表するメリット
- 介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット
- まとめ:求人票で「離職率が低い職場」は良い職場か?介護・福祉業界の実態
・離職率だけの判断はメリットの方が多いがデメリットもある!
・職場環境が良いとは判断できない!
・事業所内で少子化が起きている可能性!
介護・福祉業界の離職率が低い職場の実態
介護・福祉業界は離職率が高い時期がありましたが、現在では比較的業界的には離職率が下がってきている傾向にあります。
これは必ずしも業界全体が平均的に改善傾向にあるというわけではなく、少しずつ職場改善が進んでいる施設・事業所が増えてきた結果でもあります。
もちろん国の政策で改善している傾向もありますが、未だに介護・福祉での働き方は、精神的な側面に頼った、ボランティア精神を中心にした働き方をしている職場も多いのです。
そういった職場はやはり離職率が高いこともありますし、業務改革に積極的でないところも離職率が高い傾向にあります。
ですので、離職率を公表することは職場にとってかなりの PR 材料になります。しかしそこにはメリットばかりではなく、働く側にとってはデメリットもあります。
介護・福祉の職場が求人票で離職率を公表するメリット
離職率が低いことへのメリット離職率を公表している事業所は、求職している方にとって選ぶ「一つの基準」になるのではないかと思います。
介護・福祉の職場が離職率を公表するメリット:職場に対する不満がないPRできる
離職率が低い職場に対する不満が少ないことはいえそうです。
「自分のしたいことや家庭の事情等」を除いて、離職が起こる原因の多くは、職場に対する不満があるから退職に至り転職活動を行うのです。
離職率が低いことについては、職場に対する不満が少ないと判断できると思います。
介護・福祉の職場が離職率を公表するメリット:職員に余裕があるとPRできる
職員が無理をしていない職員が無理をしてしまうと、精神的にも肉体的にも業務の負担感が増大し、勤務を継続していくことが、非常に辛くなってきます。
職員が無理をしてしまうことに対して、職場で積極的にマネジメントしていることは判断としてできるとは思います。
ただでさえ、介護や福祉業界の仕事は緊急的な対応等も多く、慢性的な人手不足もあります。
ですので、兼任が多い職場は職員個人の業務負担は上がりやすい傾向にあります。
そのため、離職率が低いことは職員が無理をしていないと判断できると思います。
介護・福祉の職場が離職率を公表するメリット:ノウハウが蓄積されているとPRできる
離職率が高いところは、それだけ「人が持つノウハウは失われている」と考えていいです。
介護・福祉業界の特徴として、「マニュアル作成が難しい部分」が多くあります。
ですので、「人が持つノウハウ」は非常に重要でもあります。
離職率が低いことは、「人が持つノウハウが蓄積され事業所の仕事に反映されている」と考えて良いです。
そのため、教育体制が構築されやすいです。
つまり離職率が低いことは教育ができるという組織であると判断できます。
介護・福祉の職場が離職率を公表するメリット:人事評価制度があるとPRできる
人事評価制度をしっかりしている可能性があります。
理由としては、職員が将来を見定めやすいから離職に至らないと考える事ができます。
その組織に対しての目標を持ちやすいということです。
ですので、職員に対して「働くことの納得感」があるのではと考えられます。
介護・福祉の職場が離職率を公表するメリット:人間関係が良いとPRできる
職員の離職率が下がってくると、必然的に「長く働いているため既存の職員同士のコミュニケーションが多くなっている」と思います。
コミュニケーションが比較的取れていることは、「良好な人間関係を築くうえで必須」です。
離職率が低い=職場の人間関係は良いと判断できます。
人間関係の良し悪しは、個人的な主観によるものであり、いくら人間関係が良いとPRされていても、それが「自身にとって本当に人間関係が良い職場なのか?」ということは分かりません。
実際に人間関係は働いてみてわかることが多いのですが、離職率が低いことは人間関係が良い雰囲気にあることを示す指標だと考えても良いと思います。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット
次に「離職率が低い」ことでのデメリットを考えていきましょう。良いことばかりではありません。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット:組織力が高いとはいえない
働きやすい組織は厳密に述べると人それぞれ違います。
働きやすい職場の考え方を「楽(ラク)な仕事」と解釈している人にとっては、俗にいう「ぬるま湯の組織」が理想です。
一方で働きやすい職場を「充実感がある」と解釈している人にとっては、俗に言う「意識高い組織」は充実感を求めるタイプの方にとって働きやすい組織です。
離職率が低いことが必ずしも組織力が高いとはいえないのです。
当然「楽(ラク)」な方向での職場づくりをしていくと「楽(ラク)だからこの職場にいる」という職員も多くいるのです。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット:実力主義になりにくい
実力主義体制を組織のあり方として整えていくと、競争力が出てきます。
実力主義は組織を前に進めようと、積極的な変革を行っていくことに向いている組織体制です。
つまり「積極的に変革・挑戦を行っていこう!」という組織であれば、基本的に離職率が高くなる傾向になります。
それについていけない職員がでるからです。
年功序列体制のような保守的な考え方でいけば、大きく組織内が変わることも少なくなります。
そのため安定はしていますが、業界のスピード自体に取り残されていく可能性はあります。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット:若い人材が少ない可能性
離職率が少ないことは、事業拡大等を行わない限り採用する人数も少ないはずです。
そのため若い人材が少ない可能性は、十分に考えなければいけません。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット:職場環境が良いかどうか判断しにくい
離職率が低いことで、「職場環境が良いという判断」には結びにくいのではないかなと思います。
ビジネスとしてではなく、人間関係がプライベートでも繋がっている「公私混同している」組織である可能性もあります。
そうなってくると、人間関係においては閉鎖的になる可能性もあります。
離職率が低いことは、可能性としては良い職場であるとは思いますが、判断は実際に自分の目ですることをお勧めします。
介護・福祉の職場が離職率を公表するデメリット:事業所内少子化が起きている可能性
組織構成の理想としては、「どの年代の人たちもバランスよく存在して構成されている」ことが望ましいとされています。
「壮年層の考え方」「若い世代の考え方」色々な考え方があるほうが、仕事のアイデアも生まれやすいことは当然です。
例えば事業所の PR を進めていきたいこのような取り組みがあるとすると、壮年層の時代の考え方であれば「広告を作る」と考えがちになります。
若い世代の考え方を取り入れると「SNS の活用やICTを取り入れたPR 活動」も世代の考え方として生まれます。
離職率が低いことが組織のアイデアを偏ったものにさせていることはあり得ます。
まとめ:求人票で「離職率が低い職場」は良い職場か?介護・福祉業界の実態
離職率が低いことは良い職場として見ることができそうですが、判断するのはあくまでも自分の目で職場見学等をして判断すべきだと思います。
「離職率が低い根拠が何か?」それがわからない限りは、良い職場であるかはわかりません。
是非安易に決めずに、「自分の目で確かめること」「ノウハウを持っている人に手伝ってもらう」などをされたらいいと思います。
介護・福祉の業界は常に多くの求人票があります。
その中から「理想の職場」「ホワイトな職場」を見つけることは至難の技です。
下記のノウハウで「理想の職場」を探すことが、『驚くほど簡単』になります。
参考になれば幸いです。