人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
転職活動をする際には、一般的に「履歴書」と「職務経歴書」を提出します。
履歴書は、氏名、住所、学歴、およびこれまでの職歴などを時系列でまとめたもので、応募者のプロフィールを簡潔に示す書類です。
履歴書には一定の情報が必ず含まれるようになっています。
一方で、職務経歴書は、自分の経歴をベースに、その経歴がわかりやすく伝わるような表現を心がけるものです。
熟練した人事担当者なら、職務経歴書を見ただけで、「これまでどのような仕事をしてきたか?」や、「どのようなスタイルで働いてきたか?」がなんとなく理解できます。
履歴書は志望動機などから応募者の人間性を推測しますが、職務経歴書はそれに裏付けとなる具体的な実績や経験を見つけるイメージです。
そのため、履歴書をしっかりと整えたとしても、職務経歴書との整合性がない場合、人事担当者は悪い印象を抱く可能性があります。
履歴書よりも自由度が高く、詳細な職歴や実績をアピールすることが期待されます。
これにより、人事担当者に効果的に自己アピールを行うことができます。
今回は、介護・福祉の仕事において、「職務経歴書の書き方」をテーマにお伝えします。
※履歴書の書き方については下記も参考にしていただければと思います。
・職務経歴書の書き方がわからない方へ
・介護・福祉業界で印象の良い書き方にしたい方へ
・他分野が長いことが不安な方方へ
・職務経歴書は採用面接でも利用されることが多いので、興味を持たれるように書きましょう。
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【例つき】介護職の職務経歴書:福祉の転職に使える書き方
他業界から転職を希望する方で、介護・福祉業界が未経験でも、印象が良い職務経歴書を作成しましょう。
介護・福祉業界での転職を目指して、職務経歴書を書こうとしても、書き方がわからなくて適当に書いてしまうことが意外に多いです。
実際に採用面接で深堀りしてみると、素晴らしいキャリアを持っている方が、それに気づかれないまま採用見送りになるケースも多く経験しています。
未経験者でも構いませんが、記入内容は採用面接でも十分に活かされるように心掛けましょう。
介護・福祉業界の職務経歴書の書き方は、一般的な書き方とほぼ同じですが、業界独自の受け取り方や評価ポイントもあります。これらについても説明していきます。
1.介護職・福祉職の職務経歴書の書き方:退職理由や転職理由は書かなくて良い
特別な指定がない場合、職務経歴書には「退職理由や転職理由」を書く必要はありません。
通常、採用面接でこのような質問がされた場合には、答える範囲内で対応するのが一般的です。
そのため、基本的には職務経歴書に退職理由や転職理由を書く必要はありません。
もし、使用するテンプレートに「退職理由などの欄」がある場合は、空欄にすると印象が損なわれる可能性があるため、データであれば自分が使いやすいように調整することが良いでしょう。
2.介護職・福祉職の職務経歴書の書き方:職務経歴以外の情報は書く必要ない
自分の経歴がまだ多くないからといって、何でもかんでも職務経歴書に書こうとする方がいますが、職務に関する経歴以外は書く必要はありません。
たとえば、ボランティアの経験や部活動の経験などは、職務経歴には含まれません。
介護や福祉の仕事に直結するボランティア経験やスポーツ経験などは、自己PRの部分に記載してもいいと考えます。
介護・福祉業界ではボランティアの経験を積極的に受け入れる企業もあるため、その経験がプラスになる可能性もあります。
アピールしたい場合は、履歴書の自己PR欄に記載することが適しています。
ただし、ボランティアの経験が仕事に直結しない場合は、特に書く必要はありません。
たとえば、地域清掃のボランティアを町内会で1回続けているといった経験は、あまり有効な自己PRにはなりません。
3.介護職・福祉職の職務経歴書の書き方:目立つよりも信頼されること
職務経歴書で自分の実績をアピールすることは構いませんが、過剰な書き方は避けたほうが良いです。
採用面接官にとって重要なのは、目立つよりも「信頼される印象を与えること」です。
職務経歴書は、採用後に「どのような貢献ができるか」を採用面接官が想像しやすいものにすると良いでしょう。
作成後は、ただの自慢を羅列したものになっていないか確認しましょう。
4.介護職・福祉職の職務経歴書の書き方:志望する職場の研究を必ずしよう
職務経歴書は、「自分が採用後にどのように活躍できるかをアピールするための書類」ともいえます。
このため、書かれている内容が応募する職種の募集要項に適しているほど、採用面接官から良い評価を得やすくなります。
そのため、志望する法人や施設について、ホームページや職場見学を通じて事前に研究することが重要です。
求人票だけを頼りにすると「情報不足」に陥る可能性があります。
職場見学の際は、「自分の実績がどの部分に貢献できそうか」をイメージしながら見学すると良いでしょう。
これにより、職務経歴書の作成がよりスムーズになるでしょう。
5.介護職・福祉職の職務経歴書の書き方:感謝と協調性の印象
自分の実績をアピールするだけでは、間違いなく良い印象にはなりません。
介護・福祉業界では、「自己主張が強い=協調性がない」と見られることがあります。
介護・福祉の仕事は、ほとんどの仕事が一人で達成できるものではありません。
一人で行う仕事でも、裏で誰かに支えられていることがほとんどです。
つまり、自分の実績だけを強調すると、自己主張が強い印象を与えてしまう可能性があります。
ですので、書き方にはコツがあります。
達成した理由を書く際には、自分のアイデアや行動よりも「誰かに支えられたから達成できた」というアプローチが良い印象を残します。
例えば
その行動力が社内で評価されて社内表彰をただきました。
上記は「同じ業界で働く」のであれば、全くかまいません。
その業界の採用の担当者であればイメージがしやすいです。
介護・福祉業界では、このような書き方になると「自分の実績をアピール」ができてはいますが、印象があまり良くありません。
介護・福祉業界の採用面接官は「個人プレイで仕事を行うスタイルの人材である」という印象を抱きやすくなります。
また、上記の1日100件の訪問が「どのくらいの実績か?」も具体的にイメージしづらいこともあります。
ですので、下記のような書き方がよろしいかと思います。
前職では1日に100件の訪問営業をしました。
この営業活動をできたのは、同僚たちが他の業務に協力してくれたおかげです。
社内表彰も頂きましたが、私自身は「チームがあったからこそ達成できた」ものと考えています。
このような書き方であれば、介護・福祉業界の考え方とも一致します。
採用面接官の印象がよろしいかと思います。
介護職・福祉職の職務経歴書の書き方のポイント
職務経歴書は比較的に自由な書き方で良いですが、書くべきところを押さえながら作成していきましょう。
1.職務経歴書の書き方:箇条書きよりも表が良い
キレイに見えた方が印象は良いです。
箇条書きでの書き方もありますが、基本的には表で書くとよろしいかと思います。
いろんなテンプレートがインターネット上に載っていますので、参考にするとよろしいかと思います。
ただし「テンプレートを絶対」として書く必要はありません。
テンプレートの中で、不要な項目は削除するなど使いやすいように変更しても良いかと思います。
その際レイアウトが崩れないように注意はしましょう。
2.職務経歴書の書き方:職務要約・職務概要
「職務要約・職務概要」を書かない方もいるかもしれませんが、実際には書いた方が良いです。
おそらく、多くの職務経歴書のアドバイスでは、職務要約や職務概要を文章で書く必要はないとされていることが一般的だと思います。
しかし、他業界からの転職者にとっては、この部分を書くことが有益です。
理由は、多くの介護・福祉業界の人事担当者が他業界の業務経験に馴染みがなく、イメージがしにくいからです。
そのため、職務概要を文書で簡潔にまとめることで、自身の経歴やスキルがわかりやすくなり、担当者にとっても理解しやすくなります。
各職場での詳細な業務内容はすでに記載されていますが、経歴を簡潔にまとめることで、わかりやすく良い印象を与えやすくなります。
「職務要約・職務概要」は、社会人経験をまとめる重要な役割があり、職務経歴を理解しやすくし、採用担当者の興味を喚起するなどの効果が期待できます。
書き方としては、例えば「10年間で3社に勤めた方」がおられたとします。
その「10年間で何を得たのか?」社会人としての経歴のまとめを書くと良いです。
私は10年間で3社に勤めましたが、その3社で共通して私が心がけてきたことは「職場を明るくするために、ポジティブな働きかけと言動を心がけてきたこと」です。
何事もポジティブに考えてきたことによって、一つ一つの職場に活力を生み出してきたと思っています。
このように「自分がどのように働いているか?」モットーや心情を入れるとよろしいかと思います。
3.職務経歴書の書き方:在籍した職場の概要
在籍した職場の社名や企業規模・主な事業内容・職場内のポジションなどを書くのが一般的です。
書き方としてはインターネット上にある書き方を参考にして構わないと思います。
特別何かあると良いものはありません。
4.職務経歴書の書き方:職務経歴・職務内容
自分のキャリアや仕事内容・実績を詳しく記載しましょう。
これは最も重要な部分です。
見やすく、採用面接官が「短時間であなたの経歴を把握できる」ようにまとめましょう。
基本的には、「自分の実績が個人プレーで行われたもの」と印象を与えないような書き方が良いです。
重複しますが、「介護・福祉の業界は一人で達成する仕事は少ないので、協調性が重視される」ことを頭に入れながら、この部分も書くと良いでしょう。
5.職務経歴書の書き方:活かせる知識やスキル
未経験の方でも、「培ったスキル」が介護・福祉業界にどのように役立つのかを書いていきましょう。
これは感覚で構いません。
未経験なので、「何が役に立つかはわからない」ことがあるかもしれません。
未経験ならではの視点でも構いません。
採用面接官がイメージしやすければ良いのです。
例えば、前職でタクシーのドライバーをやっていた求職者に対応したことがありました。
しかし、その職務経歴からは、運転の仕事を全部やってきたということは分かりますが、それ以外のメンテナンスや車両管理などの仕事を一切書いていなかったことがありました。
介護施設では送迎車両が多く、車両管理が必要な事業所もあります。
ですので、車両管理などの経験があることは役に立つ知識や能力なのです。
自分がやってきた仕事を介護や福祉の仕事に役に立たないからと言って、簡潔に書くわけではなく、詳細に書くことはチャンスを広げることになります。
採用面接官が「これは使えそうだな」と興味を持てば、かなり印象づけられることになります。
まとめ:【例つき】介護職の職務経歴書:福祉の転職に使える書き方
職務経歴書を書く際には、自己主張よりも業界に合わせた書き方を心がけましょう。
職務経歴書は案外自由な書類ですので、テンプレートなどに偏らないようにするとメリットがあります。
「履歴書よりも職務経歴書の方が人格がわかりやすい」こともあります。
職務経歴書に関しては、筆記で書くよりもパソコンで作成した方が良いでしょう。
傾向としては、採用面接官の好みにはなりますが、「一つの職場でもいろんな役割をしてきた人材」に対しては印象が良いようです。
前職で出世・昇進・マネジメント経験などがあれば、それを是非書きましょう。
「そのポジションになって、どんな景色が見えたのか?」といった内容も追加すると、採用面接官がより具体的にイメージしやすくなりますよ。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/
参考として、ご活用いただければ幸いです。