人事担当者として1000人以上の介護・福祉職の方々とお話してきました。(プロフィールはこちら>>)
「来月から主任に昇進する…でも…なりたくないな…」
「私に管理者はできるのかな…」
実は、このような疑念を抱く方は意外に多いのです。
昇進は嬉しい一方で、責任も増え、仕事の難易度が上がると感じたり、報酬に見合わないと感じたりすることもあるのです。
介護の分野では、昇進に興味を抱かない人が結構います。
もちろん、昇進によって給与が向上するのは理解できますが、無理な昇進は逆にストレスを増やす可能性があります。
昇進すれば、仕事がより複雑になり、ストレスも増えるという話はよく聞きます。
頑張っている介護・福祉の現場の皆さんも、上司の仕事に興味を持っていることでしょう。
昇進による責任とリスクを検討することは重要です。
昇進にあまり興味がないと感じる方も多いのは、現代の働き方改革が進み、ワーク・ライフ・バランスが強調されているためでしょう。
昇進によって仕事が増え、ストレスが増す可能性もあるため、魅力を感じない人が増えているのは自然な流れです。
以前の記事でも触れましたが、介護の職場の上司や役職者には格差があります。楽で待遇が良い管理者の職場もあれば、逆に厳しいところも存在します。
昇進を機に、真摯なリーダーシップを発揮したいと思うのは自然なことです。
今回は「昇進・出世」というキーワードで、介護・福祉業界の役職者になることに伴うリアルな3つの注意点についてお話します。
・介護職で「昇進・出世」に興味がある方へ
・役職者になることに自身がない方へ
・「現場と管理の切り分け・人間関係のマネジメント・指示する力」の3つは注意しましょう。経験上潰れやすい人は、どれかができていないです。
\ あなたにとって理想の職場/
介護職で出世:昇進して役職者になるとダメになる人(まえがき)
もしも近々出世が決まるということであれば、まず「おめでとうございます。」
これまでの頑張りやキャリアが認められた結果だと思います。
ただ、この記事を読んでいるあなたは自信がないか、責任を持って仕事を果たせるか心配で、管理者として「ダメになりたくない」と感じているのではないでしょうか?
昇進すると確かに仕事の量が増えます。
これはおおよそ当たりですが、基本的には職場環境が整っている場合、仕事量が増えるのは最初のうちだけです。
良い職場であれば、仕事量は徐々に減っていくことが普通です。
ただし、誤解してほしくないのは、役職者としてやらなければいけない仕事だけをやればよくなっていくということです。
しかし、職場環境が整っていない未熟な場合、昇進したい人が単に仕事が増えるという現象が起きることは事実です。
「仕事が増える」は、「昇進はしたくない」という最も一般的な理由の一つですが、これは避けることができない宿命だと考えられます。
なぜ仕事が増えるのかという疑問が生じますが、その答えは「昇進したポジションには新しい責任が伴うから」となります。
昇進は基本的に「前任者が退任したため、そのポジションが空席になった」という状況から始まります。
新規の事業を行う場合もありますが、多くの場合、昇進はその職場からの昇進であり、前任者の退任というケースが経験的に多いです。
このため、ポジションを引き継ぐ場合、前任者が行ってきた業務やマネジメントの手法を受け継がなければなりません。
ただし、前任者のマネジメント方法が自分に合わない可能性があります。
前任者との能力差や前任者が仕事をこなしていなかった可能性も考えられます。
前任者が優れた仕事をしていたとしても、そうでなくても、新たなマネジメント役職に就くことは、その職場の雰囲気やシステムに大きな影響を与えることになります。
したがって、現場職員であった頃は指示に従うだけでよかったかもしれませんが、マネ
ジメントの立場になると、自ら考え行動する能力が求められます。
簡単に言うと、未熟な職場だと、現場のこともマネジメントもどっちともしなければならないことになりますね。
1.介護職で昇進・出世:現場と管理を分けれないとダメになる
昇進や出世がしやすいのは、労働環境や職場環境が整った場所です。
基本的に、こういった職場では現場とマネージメントの役割分担がしっかりしています。
多くの役職者は現場の業務もこなしながら管理も担当することがあります。
法的には問題ありませんが、業務量がかなり増え、ストレスが蓄積され、本来の能力が発揮できなくなることがよくあります。
介護職は柔軟に様々な仕事をこなす必要があり、決められたスケジュール通りにこなすだけではないのです。
その上にマネジメント業務まで担当することから、業務量が膨大に増え、管理者がストレスを抱えがちです。
その結果、本来の能力を発揮できない状態に陥ることが多いです。
したがって、出世を考えるならば、現場とマネジメントの切り分けが重要です。
ただし、これがうまくいくのは職場が既に整っている場合であり、そうでない場合は時間と覚悟が必要です。
(それを想像できる人は出世を拒否するか退職し、転職をします。)
なぜなら、とんでもなく業務の量が増えるからです。
仕事を分散しようとすると、管理者に求められる行為であるはずが、現場の職員にとっ
ては「現場職員の仕事を増やそうとしている」と受け取られてしまいます。
つまり、現場職員は現場の仕事を優先しなければならず、余裕がないことが多いのです。
したがって、出世したばかりの管理者が仕事を分散させようとすると、信頼関係が築かれていない状態で部下職員に仕事を任せることになり、反発を招く可能性が高まります。
これが解決されないままだと、人間関係の問題に発展してしまいますが、これもマネジメントできなければなりません。
管理者をしながら現場の介護士の仕事を兼任するのは厳しいですね・・・
2.介護職で昇進・出世:部下職員の人間関係のマネジメントが必須
新しい仕組みを構築するのは、管理者一人では難しい場合があります。
ここでは、部下職員と協力しながら進める必要があります。
「職員が何に悩んでいるのか?」―これが業務改善における分析の出発点です。
職員の悩みを理解し、それに対する解決策を見つける姿勢は、職場の雰囲気を良好にする一環となります。
現場の職員は主に対象者(利用者)のために働きますが、管理者は他の職員(部下職員)のためにも尽力します。
職員が抱える問題は容易に解決できないこともありますが、職員の声に耳を傾け、解決策を共に考えることで、活気ある職場を築くことが可能です。
介護・福祉業界の特徴として、変化に適応することが難しい側面があります。
特にベテラン職員は、自分のやり方を変えることに抵抗を感じることがあります。
しかし、人材の入れ替わりや状況の変化に対応するためには、柔軟な対応が必要です。
職場全体が変化することは、持続可能な運営のために欠かせない要素です。
管理者のアプローチが、職場の将来性を左右することもあります。
しかし、この仕組みが一度確立されれば、管理者としては人間関係に悩むことも減ります。
現場の業務は現場に任せ、管理業務に集中することで、心配する必要はほとんどありません。
自らも管理者としてのスキルを磨いていけば、克服できない問題も減少します。
なぜなら、職員がうまくやり遂げられない課題が残っていれば、彼らが退職を選ぶ可能性が高まります。
これが進むと、以前の記事で述べたように現場が崩壊する危険性が生じます。
これを食い止めるには、相当なリーダーシップを発揮する必要があります。特に「指示する力」は非常に重要なスキルとなってきます。
管理者の能力次第では退職ラッシュが起き、職場は崩壊します。
3.介護職で昇進・出世:リーダーの指示する力は超重要
人間関係が歪になり、職場環境が悪化した際に、これを食い止めるために上司の立場にある役職者たちは、的確に業務を指示する力を発揮しなければなりません。
ここで、チーム全体が「リーダーが頼りになる」と認識すると、自ずとリーダーに対する協力体制が整うことになります。
ただし、これには相当なエネルギーが必要で、時には厳しく職員に接することもあります。
その際には、しっかりと自分に基準を持ちながら業務を進めなければなりません。
優柔不断になるとダブルバインドが起きる可能性もあります。
したがって、リーダーの指示力は最終的に非常に重要なスキルとなります。
もちろん、職場環境が整っていて人間関係も良好な場合、リーダーが指示する力を発揮しなくても、チームで協力しながら進めていくこともありますが、そうでない場合の管理者の指示力は非常に必要となります。
介護職で出世:とにかく昇進者への「教育」が重要
ときに法人の経営者なら、新しく役職者になる人材に「仕事をさせることが、職員教育になる」と考えていることがあります。
これは、人材をつぶしてしまう非常に危険だと思います。
初めて役職者になる人、他の事業所から転職してきて管理者の経験がある人、そのようなことを問わずに管理者になることに対しては、必ず管理者に対しての教育がないといけません。
そういった管理者への教育がない職場は明らかに未熟です。
能力がないのに偉そうにしてしまう昇進者をたくさん見てきました。
もちろん仕事を任せることは教育になりますが、その前提として基礎を教えていないのに仕事をさせることは、職員と職場にとって危険なことです。
職員教育には介護・福祉の技術だけでなく、職場の方針や考え方、そして管理者自身の価値観を共有する重要性があります。
この共有が信頼関係を深める要素となります。
つまり、管理職というのは自分に協力してもらうように仕向けていかなければなりません。
職場を育てていかなければなりません。
この方針を打ち出せないと、管理者としては厳しいかもしれませんが、出世を考えるならば、「自分がこのようなマネジメントされたかった」もしくは「このようなことが嫌だった」という経験を方針にすれば良いのです。
具体的な方針を打ち出すことで、職員との信頼関係を築くことができますが、方針の浸透には時間がかかります。
職員とのコミュニケーションは、様々な伝え方が求められます。
対話を通じてマネジメントの視野が広がり、出世に興味がなくても、マネジメントを続けることで努力が報われやすくなります。
マネジメントを通じて職場の雰囲気を把握し、良い職場環境を作り上げると、職員の満足度が高まります。
このような状態になると、職員も協力的で、仕事を任せることができ、管理者としての仕事は維持するだけで十分になります。
しかし、言ったように管理者としてやっていくことが厳しい職場であれば、割に合わないことがたくさんあります。
自分だけではなく、部下職員たちも不幸にさせてしまう可能性があります。
ですので、しっかりとした職場で出世をすることをおすすめします。
そうでない限りは出世を断ってでも転職した方が良いかと思います。
もちろん、自信があるのであれば、精一杯活躍してください。
私は上司が無茶苦茶で転職したクチです・・・。
まとめ:介護職で出世:昇進して役職者になるとダメになる人の3つの注意点
一般的には、「リーダーやマネジメントする人材として成功している人」は、ゆとりがあるように見えることがありますね。
しかし、実際のところ、「余裕がある」のは、それを築くために頑張ってきた成果なのです。
つまり、その立場に昇進する初期は、非常に多くの仕事をこなしてきたことでしょう。
その苦労が実を結び、ゆとりが生まれたというわけです。
今回は出世をテーマに取り上げましたが、その職場で出世してマネジメントの役割を果たせるかどうかは重要な要素です。
しかし、ブラックな職場でマネジメントの立場に立つと、経営側のポリシーや方針がある場合、それを変えることは基本的に難しいでしょう。
部下や職員から恨まれることもあるかもしれませんし、ストレスで自分自身が壊れることもありえます。
ブラックな職場での出世や昇進は、結局何の意味もありません。
出世・昇進に自信がない方でも、「抵抗感がない職場」で働いていることが前提です。
つまり、働きやすく、ホワイトな職場であることが、将来性を高める一環となります。
\最後まで読んでくれてありがとう♪/